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物を語ること

ファシリテーターとして会議の進行やヒアリング、インタビューを行うことがあります。まちづくりですから、防犯、団地再生、地域活動などいろいろなテーマで話を聞くのですが、そこで共通して言われるのが「担い手がいない」「若者がいない」といったことです。一方、若い人と一緒に話し合いをするとどうしても若者は遠慮がちになって、本音を聞くことができません。

ワークショップという場では、そうした年代や多様な価値観をもった人同士が対話や共同作業を通じて、違いを共有することもメリットとしてあげられていますが、本音を語るには、ファシリテーターの助けはもちろんのこと、ワークショップの場の作り方にさらなる工夫が必要かなとも感じています。ワークショップという場だけではやはり解決しないのかなとも思います。

そんなおり、早稲田まちづくりシンポジウム2018でとても興味深い話を聞くことができました。

一つは「フォーラムシアター」もうひとつは「映画づくりワークショップ」です。 前者は、インタビューで聞いた方を演じ、その演じたものをさらに演じることを通じて思い込みや気づきを得るというもの。後者は、映画づくりというプロセスからものを語るというもの。映画づくりワークショップでは、被災地である田野畑村の中学生が「田野畑村で起こる奇跡の物語」というテーマで短い映画をつくるといったものです。さらにこうした手法は「ナラティブサーベイ」として、パレスチナでも最近取り組まれているそうです。

演じることや映画をつくるという芸術的要素と、都市計画やまちづくりに接点がなさそうに思いますが、演じることや映画を作ることを通して、他者を理解する、傷つかずに自分を語ることができるということを聞き、私はがーんとしました。

いつもインタビューなどで相手を分かったような気がしているけれど、それは期待に応えるよう答えさせているだけかも知れないと。表出される言葉だけにとらわれていないか。あるいは、私が期待するような答えを発言してもらうようにバイヤスをかけていないか。

じゃあこれからはフォーラムシアターや映画づくりをしながら、インタビューをすればいいのか。なかなかそうはいきません。

悩みは深まります。でもヒントはいただけたような気がしました。

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