ファシリテーターとしてお金をいただいて、会議などのお手伝いをしています。そんな仕事を20年以上やっているので「ファシリテーターという職能は必要」と変に自負が生まれてしまうものです。
ところが、30年度に久しぶりにお手伝いした「江東区ユニバーサルデザインワークショップ」で、その概念を打ち砕かれてしまいました。
このワークショップは、40人近くのメンバーのうち半数が分野を超えた区の若手職員、半数は障害のある人を含む区民によって構成されており、毎年何らかのテーマをもとにまち歩きや話題提供者の話を聞いたり、話し合いを重ねていきます。このワークショップは15年以上続いています。
私たちコンサルタントは、複数のグループの話し合いを回りながら、話し合いのサポートをしていきます。みんなの様子を見てみると、何年も参加している人がいたり、区の職員が率先して記録をとったり、ゆるやかに進行し、非常にリラックスした話し合いの場が生まれてきます。「ファシリテーターって仕事じゃないな!」と改めて感じさせられました。
あるところからは「ファシリテーターを育てたい」という相談を受けることもあり「ファシリテーターは研修を受けただけでは難しいですよ」と答えているのですが、その答えがユニバーサルデザインワークショップにあるような気がします。
1つの組織内のファシリテーターだと、同質的な集団なので、お互いわかった気になってしまい、逆に相手の無理解にストレスがたまってしまうもの。ユニバーサルデザインのワークショップでは、仕事、障害の種類、有無、年齢、国籍がごちゃ混ぜですから、互いが違って当たり前がスタートライン。だからこそ、お互いのことを知ろうという姿勢になるし、寛容さがあります。
さまざまな人が集まる会議では、もちろん手話通訳など情報保障が必要になりますが、準備を含めた参加の場のプランニングの基本を再認識させてくれます。
かくいう私も失敗続きですが、ユニバーサルデザイン、ファシリテーションを一部の人だけが頑張るのではなく、一人でも多くの人が取り組んでくれるといいなと感じます。
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